相続や遺贈で取得した土地が負担になるときは?

【相続した土地を手放したい】

 相続遺贈で土地を取得したけど負担になるので手放したい、というご相談を受けることがあります。毎年、固定資産税がかかる、相続登記が義務化されたが相続登記が済んでいないので過料が心配、管理が面倒、など事情は様々です。
 なかにはバブル時代に大規模開発予定であるとか新幹線の駅ができるので地価が上昇するという誘い、いわゆる原野商法に乗って地方の広大な土地を購入し、塩漬けになっている土地もあるでしょう。

【4つの方法】

 土地を手放したいときは、以下の4つの方法が考えられますので、その方の事情や土地の態様(価額等)を踏まえて検討するとよいでしょう。
(1)民間売買
(2)相続放棄
(3)国や地方公共団体等への寄付
(4)相続土地国庫帰属制度
 以下、順を追って説明します。

【民間売買】

 取得した土地に一定の価値があれば、まず、売買によることが考えられます。売買代金を得ることが出来ますし、共有者(共同相続人等)がいる場合でも、 自分の持分のみ売却が可能です。売却先探しや条件提示等は、通常、不動産業者を通じて行います。

【相続放棄】

 土地の取得が相続によるものであれば、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内であれば、相続を放棄することができます(第915条1項)。ただし、相続放棄は負債を全ての相続財産を放棄することになり、預金は相続するが土地が相続しない、といった選り好みはできません。また、3箇月以内であっても相続財産の一部を費消した場合は単純承認したこととなり、相続放棄はできません。
 土地の取得原因が遺贈(遺言による財産承継をいいます)であれば、 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができます(第986条1項)。

【国や地方公共団体等への寄付】

 寄附を受ける基準が国や地方公共団体等によって異なるので、寄付したい先へ相談してみます。相続土地国庫帰属制度のような負担金は原則ありません。

【相続土地国庫帰属制度】

  相続土地国庫帰属制度は相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限ります。)によって取得した土地のうち一定の要件を満たすものについて、取得者が国対して引き取りを請求できる制度です。
①制度創設のきっかけ
 この制度は、所有者不明土地(不動産登記簿により、所有者が直ちに判明しない土地 、所有者が判明しても、所在不明で連絡がつかない土地) の発生を予防するために令和5年4月27日より施行されました。
②引き取り制限
 どんな土地でも引き取ってもらえる訳ではなく、一定の制限が設けられています。以下は、引き取り不可能な土地の例です。
 イ)土地の境界が不明な土地
 ロ)建物、工作物、車両、樹木がある土地
 ハ)土壌汚染、埋設物 のある土地
 二)危険な崖( 勾配30度以上かつ高さ5M以上)のある土地
 ホ) 担保権など設定されている土地
 へ)境内地、  他人の通路、墓地、ため池になっている土地
など
③費用
 審査料(一筆あたり14,000円)と引き取りが承認された場合は負担金(土地の管理費10年分相当額、最低20万円~)が必要です。
④相続登記未了の土地
 相続登記が未了でも申請可能です。相続登記や住所変更登記やがされていない場合、国が代位登記を行った上で、国庫への所有権移転登記も国がを行います。

【相続人申告登記】

 相続登記未了による過料が心配ということであれば、相続人申告登記をすることで登記義務を果たしたことになります。ただし、単独相続や遺産分割終了後は、相続登記をしなければなりません。

 相続や遺贈により取得した土地を手放したい場合は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

 

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