母に全部相続させたいのですが、放棄すればよいですか?
《相談内容》
「父が亡くなり、相続人は母と兄と私です。兄と相談し、自宅や預貯金など全財産を年老いた母に相続してもらうおうと考えています。兄と私が相続放棄をすればよいですか?」
相談会などでこれと同じ趣旨の質問を頂くことがありあます。
《回答》
結論から言いますと、相続放棄ではなく、「お母様が全財産を相続する」旨の遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印する方法をとります。
《思いもよらない事が・・》
相続放棄によって、次の順位の相続人に相続権が移ってしまうことがありますので、注意が必要です。例えば、亡お父様に兄弟姉妹がいた場合(第二順位のご両親は他界しているとします)、あなたとお兄さんが相続放棄することで、相続権が亡お父様の第三順位の兄弟姉妹に移ってしまうのです。
そうなるとお母様とお父様の兄弟姉妹による遺産分割協議が必要になってしまい、老いた母親の生活資金を確保したいという目的とはかけ離れた事態になってしまいますのでご注意ください。

《相続放棄の手続き》
なお、相続放棄は家庭裁判所への申述という手続きが必要です。通常、被相続人に借金などの負債があり、相続人がそれを引き継がないようにするために行われます。