生命保険金や死亡退職金は相続財産となるか?

 無料相談会などでよく聞かれるのが、生命保険金は相続財産となるか?というご質問です。遺言上、財産の配分を検討する上で重要ですし、遺産分割協議においても、まず、何が遺産分割の対象かを知る必要があるからです。死亡退職金について聞かれることは、あまりありませんが、今回併せて説明します。

【生命保険金】

1.受取人別の検討
 生命保険証券上、受取人がどうなっているかにより、次のようになります。

(1)受取人が個別に指定されている場合
 相続財産にはなりません。生命保険金請求権は、受取人の固有の請求権となります。受取人が指定されていることが圧倒的に多いのが実情です。
(2)受取人を「相続人」としている場合
 相続財産にはなりません。生命保険金請求権は、相続人の固有の請求権となります。この場合、各保険金受取人の有する保険給付請求権の割合は法定相続分の割合になると解されています(判例)。 
(3)受取人を被相続人(本人)としている場合
 この場合は、相続財産となります。ただし、終身保険は残された遺族のために加入するものですから、受取人を被相続人本人とすることは意味がなく、通常はありません。医療保険等において、死亡保険金が給付されるケースを想定しています。
(4)指定受取人が被相続人より先に死亡した場合
 死亡した指定受取人の相続人が保険金請求権を相続します。この場合、各相続人は、法定相続分の割合ではなく、平等の割合で保険金給付請求権を取得します(分割債権とするのが判例)。

2.相続財産より生命保険金が著しく大きい場合
 死亡保険金は生前贈与または遺贈にはなりませんが、相続人の間で著しく不公平な特別の事情がある場合には、特別受益に準じて考慮されるとするのが判例です。具体的には、保険金の額や保険金の遺産総額に対する比率、保険金を受け取る相続人と他の相続人と被相続人との関係等を考慮して決定すべきとしています。

<例> 

相続人  :2名(長女、二女)
相続財産 :1,000万円
生命保険金:9,000万円
指定受取人:二女
《受取額》
長女の受取額: 500万円(相続財産×1/2)
二女の受取額:9,500万円(相続財産×1/2+生命保険金)

3.遺留分対策としての生命保険金
 遺留分侵害額請求を受けた時に支払原資を捻出できるように、遺留分侵害額請求を受けると予想される推定相続人を生命保険金の受取人に指定することも行われているようです。
 例えば、めぼしい財産が、土地建物しかない場合、土地建物を特定の相続人(その不動産に居住している配偶者など)に相続させ、その相続人が他の相続人から遺留分侵害額請求を受けた場合に備えて、生命保険金の受取人に指定するケースです。

4.みなし相続財産
 上記のように、生命保険金はほとんどのケースで相続財産とはなりませんが、相続税法上はみなし相続財産となりますので注意してください。なお、500万円×法定相続人の数の金額については、非課税財産となります。

【死亡退職金】

1.法令や内規に定めがある場合
 受取人について、法令や企業・団体の内規によって定めがある場合は、死亡退職金は、受取人の固有の権利となり、相続財産とはなりません。

2.法令や内規に定めがない場合
 この場合、死亡退職金を相続財産とみるかどうかは、裁判例は分かれていますが、相続財産とする例が多いようです。

3.みなし相続財産
 死亡退職金もみなし相続財産となります。

相続・遺言・終活の無料相談会 6月 ユニコムプラザ ボーノ相模大野 | さがみはら南区 | タウンニュース

「家族に感謝される遺言書とは?」「自宅が祖父名義のまま、どうすれば?」「おひとり様で心配」などの疑問・心配・要望に応える相談会が6月1日(日)、6日(金)、22…

シェアする