親族が成年後見人等に選任される割合はどのくらいですか?

【親族が成年後見人等に選任される割合】

 親族が成年後見人等に選ばれる割合は、近年減少傾向にあり、全体の約2割程度となっています。最高裁判所事務総局家庭局が発表している「成年後見関係事件の概況」(令和4年1月~12月)によると、成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)に配偶者や親、子、兄弟姉妹などの親族が選任された割合は19.1%で、2割を下回っています。
 これに対し、弁護士や司法書士、社会福祉士、行政書士、税理士などの専門職、各種法人が選任されるケースが全体の約8割を占めています。

【割合が減少している背景】

 成年後見制度が始まった平成12年当時は、親族が成年後見人等に選任される割合は90%以上と非常に高かったのですが、その後年々減少しています。この背景には、いくつかの要因が考えられます。

(1)親族成年後見人等による不正事案:
 親族成年後見人等による財産の使い込みなどの不正事案が報道され、社会問題となったことで、家庭裁判所が親族の選任に慎重になる傾向があったようです。

(2)親族の負担:
 財産管理や身上監護の専門性、時間的拘束、他の親族との関係調整など、親族が成年後見人等となることの負担が大きいと感じる人が増えています。

(3)専門職の増加と周知:
 弁護士や司法書士、社会福祉士、行政書士、税理士などの専門職後見人の育成が進み、また、それらの者を監督・指導する士業の自主団体の活動が周知されるようになり、専門職に依頼することのメリット(中立性、専門性、監督体制など)が広く認識されるようになってきました。

(4)申立人の希望:
 そもそも成年後見の申立てをする際に、候補者として親族以外の専門職を希望するケースが増加しています。司法統計によると、後見人等候補者に親族を記載している割合自体が、全体の約2割程度と少ない現状があります(令和4年)。

【成年後見人等候補者に親族を希望した場合】

 ただし、親族が成年後見人等に「なれない」わけではありません。実際に候補者として親族を希望した場合の認容率は高く、約8割以上が認められています。家庭裁判所は、本人の利益を最優先に考え、申立人の希望や親族の状況、本人の財産状況などを総合的に考慮して、最適な後見人等を選任します。
 なお、親族が成年後見人等になる場合は、後見監督人が選任されたり、成年後見制度支援信託を利用したりするなど、家庭裁判所の監督のもとで財産管理の透明性を確保する仕組みが導入されることも多くなっています。

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