[相続]集合住宅(マンションなど)の調査方法-敷地権表示の有無

【敷地権の表示】

 相続財産調査では、被相続人の所有していた財産や価格を調査する必要があります。団地やマンションなどの集合住宅(ここでは、賃貸を除きます)を調査する際、敷地利用権が登記されているかどうかを建物の登記事項証明書で確認します。敷地利用権が登記されたものを敷地権と呼び、敷地権が表示されていれば、土地の登記事項証明書の取付は原則として不要です。

【敷地利用権とは】

 建物に住むためには、その建物の立っている土地を使用する権限が必要です。団地やマンションの専有部分を所有する場合にも、この土地(敷地)に関する権利が必要になります。この専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利のことを敷地利用権と呼んでいます。敷地利用権は、所有権である場合もあれば賃借権でその他であることもあります。

【分離処分の禁止】

 敷地利用権が複数人で所有する所有権、賃借権その他の権利である場合には、区分所有者は原則として、専有部分と敷地利用権とを分離して処分することが出来ません。(ただし、管理規約で別段の定めをすることが出来ます) 分離処分されて、専有部分の所有者が敷地利用権を確保できないと困るからです。

【敷地権】

 敷地利用権のうち、登記の行われたものを敷地権と呼んでいます。敷地権の記載のある(建物の)登記事項証明書には、表題部に(1)敷地権の目的たる土地の表示や(2)敷地権の表示が記載されていますが、敷地権の記載のない登記事項証明書(昭和58年以前に建築・分譲された集合住宅に多い)には、それらの記載はありません。
 そのため、後者は、建物の登記事項証明書だけでは、敷地利用権の目的となっている土地を把握することができません。したがって、別途、一棟の建物の所在に対応する土地の所在地番の登記事項証明書を取り付ける必要があります。

 (1)表題部(敷地権の目的たる土地の表示)の記載事項

  ①土地の符号

  ②所在及び地番

  ③地目 

  ④地積

  ⑤登記の日付

 土地が複数の場合は、①~⑤はそれに応じて記載されます。棟数の多い古い団地などでは、複数の土地が居住棟から離れて存在していることもあります。集会所や駐車場、貯水池などの共用部分が点在しているようなケースです。

 (2)表題部(敷地権の表示)の記載事項

  ①土地の符号

  ②敷地権の種類

  ③敷地権の割合

  ④原因及びその日付[登記の日付] 

《敷地権の記載のある区分建物の登記事項証明書の構成》

表題部(一棟の建物の表示)
表題部(敷地権の目的たる土地の表示)
表題部(専有部分の建物の表示)
表題部(敷地権の表示)
権利部(甲区)
権利部(乙区) ※抵当権設定等がある場合

《敷地権の記載のない区分建物の登記事項証明書の構成》

表題部(一棟の建物の表示)
表題部(専有部分の建物の表示)
権利部(甲区)
権利部(乙区) ※抵当権設定等がある場合

【抵当権や売買の記録も同様】

 敷地権のある区分建物(専有部分と共用部分の持分)に抵当権を設定する場合、土地に関する権利の変動も建物の登記記録に記録されるため、土地(敷地)の登記事項証明書に、抵当権の記録はされません。区分建物の売買についても同様です。

【価格を調べるには】

 登記事項証明書には、価格は記載されませんので、例えば、固定資産税価格を調べるには、固定資産税納税通知書を確認します。それがない場合は、名寄帳または固定資産評価証明書を取得します。

【やはり名寄帳】

 上記に述べたことは、既に判明している特定の不動産の調査方法です。被相続人所有不動産を漏れなく確認するには、名寄帳を取得した方がよいでしょう。なお、便利な所有不動産記録証明制度が令和8年2月2日より施行予定です。

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