自宅だけの遺言は受け付けてもらえますか?

【はじめに】
無料相談会などで、自分の財産の一部についてのみ遺言をすることはできるか?とご質問を受けることがあります。話をよく聞いてみると自宅(土地・建物、マンション等)の他に預貯金や投資信託等の金融資産があるのですが、今後の医療費や介護施設入居費用等で金融資産は減少していくので、相続開始時に遺言書に記載した財産が残っていないと何か不都合が生じるのではないか、そんな遺言書は公証役場では受け付けてもらえないのではないか、と心配されているケースがほとんどです。それならば残っていることが確実と思われる自宅だけでも遺言書で承継者を決めておきたい、という訳です。
【財産の一部の遺言でもよい】
結論から言うと財産の一部についての遺言は可能ですし、もちろん公証役場も受け付けてくれます。金融資産のみならず、不動産を含めて財産は変動するものだからです。相続開始の時には、遺言書に記載された預貯金は残高がほとんどなかったということも珍しくありません。その場合であっても、遺言の効力自体に影響を与えることはありません。
しかし、せっかく遺言書を書くなら現時点におけるすべての財産の承継先あるいはどうしたいかを書いた方がよいでしょう。どうしても金融資産の目減りが心配なら、遺言書を書き直してもよいのです。
【留意点】
遺言者の健康状態、介護施設入居等でお金が必要となることは往々にしてありますので、遺産配分には留意した方がよいでしょう。
例えば、遺言の内容が、「長男に自宅を相続させ、二男に預貯金を相続させる(他に財産はない)」、というケースで相続開始時に預貯金がほとんどゼロだとアンバランスになってしまい、二男から長男へ遺留分侵害額請求がなされるかもしれません。これは、遺言者としても本意ではないでしょう。
【書き方の工夫】
上記のような事態を避けるため、一つのやり方として、長男に全財産を相続させ、長男が次男に相続開始時に存在する財産の一定割合を負担金(代償金)として支払う、という方法もありますので、参考にしてください。
その際、不動産(土地)の評価については、固定資産税評価額とするのか路線価(または倍率方式)とするのか、はたまた公示価額」上記のような事態を避けるため、一つのやり方として、長男に全財産を相続させ、長男が次男に相続開始時に存在する財産の一定割合を負担金(代償金)として支払う、という方法もありますので、参考にしてください。 その際、不動産(土地)の評価については、固定資産税評価額とするのか路線価(または倍率方式)とするのか、はたまた公示価格を基準とするのかについても明記しておきましょう。
(土地の評価額)
固定資産税評価額<路線価による評価額<公示価格

