在留資格「経営・管理」は日本に移住するためのお手軽切符?

 先日、TVを見ていると、某国では日本へ移住するための近道として、在留資格「経営・管理」の取得がブームになっているという趣旨の特集をやっていました。「経営・管理」では、「技術・人文知識・国際業務」のように大学卒業者であることや専攻科目と従事業務の関連性などは要件となっておらず、500万円以上の資金があれば容易に取得でき、お手軽に日本に移住できるというものです。もちろん、番組制作側がそのように言っているのではありません。
 実際はどうなのか、ここでは、「経営・管理」のなかでも外国人が日本で事業経営を行う場合について考えてみたいと思います。

【「経営・管理」の審査ポイント】
 先日開催された行政書士向けの入管業務研修会で、出入国在留管理局の職員である講師は、「経営・管理」の審査ポイントを、次のように説明されていました。

 「許可要件は多岐に渡りますが、重要な審査ポイントして、「外国人が日本で事業の経営に実質的に参画しようとしているのか」をみます」

 これをもう少し具体的に言うと、申請人である外国人が事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行うことが必要ということです。本当に日本で事業を興し、経営に携わる意思や能力があるのか、という点を重点的に審査するのです。
 これからすると、自国である程度資金が溜まったから500万円を出資するというだけは、足りないように思います。

【上陸基準省令】
 上陸基準省令上、「経営・管理」の許可要件は次のようになっています。これだけ読むと、上記の「事業経営に実質的に参画すること」とは書いていませんが、当然の前提となっているのです。某国でのブーム・噂は、下記要件のうち、二のロだけに注目しているように思われます。 

 申請人が次のいずれにも該当していること。
一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあって は,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。 
 イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資 格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。 
 ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。 
 ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
三 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について三年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し,かつ,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額 以上の報酬を受けること。

【許可・不許可事例】
 上陸基準省令の一にあるように、日本で事業を経営するためには、事業所が確保されていなければなりませんが、この点は許可・不許可を分けるポイントとなることが多いようです。入管ホームページ掲載の事例を紹介しておきます。

   許可事例①    申請人は、本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更 許可申請を行ったが、事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの、貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており、事業所が確保されていると認められたもの。

 ②    申請人は、本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、本店が役員自宅である一方、支社として商工会所有の物件を賃借していたことから、事業所が確保されていると認められたもの。
    不許可事例①    申請人は、本邦において有限会社を設立し、当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが、事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ、郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの。

 ②    申請人は、本邦において有限会社を設立し、総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、提出された資料から事業所が住居であると思われ、調査したところ、2階建てアパートで郵便受け、玄関には社名を表す標識等はなかったもの。また、居宅内も事務機器等は設置されておらず、家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの。
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