養子の相続権は実子と全く同じです―見落とすと再協議が必要です

【養子の相続権】
養子は、生物学的親子関係のない者が、契約によって養子縁組を結び、縁組の日から実子関係と同一の法律関係が成立することを法律で認めた制度です。養子のように法が認めた血族関係を法定血族関係といいます。したがって、実子と同じく相続人となります。加えて、実親からも相続することができます。遺産分割協議の際、養子を見落としてしまうと当該協議は無効となりますので、注意が必要です。
ただし、特別養子は実の両親との親子関係が終了するため、実親から相続することはできません。
【婿養子とは】
日本では、家業を継がせるため、家の存続のために昔から婿養子を迎えることが行われてきました。ただ、娘に婿として迎えただけでは婿は相続人とはならず、娘の両親と養子縁組をする必要があります。このように養子縁組をした娘婿のことを婿養子といいます。
【代襲相続】
養子の子には、実子の子と同様代襲相続権があります。ただし、養子縁組後に出生した子でなければなりません。養子は養親と「養子縁組の日」から法定血族関係に入るため、養子縁組前に出生した子は、被相続人(養親)の直系卑属とはいえないからです。
【虚偽の出生届による養子縁組】
我が国では、さまざまな事情から、生後間もない子をもらい受け、実子として届け出ることが行われてきました。しかし、裁判になった場合、このような虚偽の出生届出によって、嫡出として親子関係が認められることはありませんし、かといって、養子縁組の成立も認められません。結局、相続権は否定されることになります。