遺言は代襲相続でも生きる?―予備的遺言が必要です!
前回に続き、予備的遺言のお話ですが、今回は代襲相続が関係してくる場合について出来るだけ簡単な事例をもとに分かりやすく解説します。
※代襲相続とは、相続人が被相続人より先に亡くなったなどの事情がある場合に相続人の子が相続人に代わって相続人になることです。代襲相続が発生するのは、相続人が被相続人の子または兄弟姉妹の場合に限られます。


《事例》
キャスト:本人(遺言者)、姉A、妹B、(遺言者は独身、子なし、両親は他界)
遺言内容:「不動産は姉A、預貯金は妹Bに相続させる」
この遺言では、もし姉Aが遺言者より先に亡くなれば、姉Aに相続させるとした不動産は、他に相続人がいないと妹Bが相続します。では、姉Aに子がいたらどうでしょう?(遺言者からみると甥Cとします)

代襲相続により、甥Cが不動産を相続しそうにも思えますが、判例は遺言の代襲相続を否定しています。そのため不動産の行き先は、妹B・甥Cによる遺産分割協議によって決まることになります。したがって、不動産を姉系に確実に残したいのであれば、「遺言者より先に姉Aが亡くなっ場合は、甥Cに相続させる」旨の予備的遺言をしておくことが必要となります。
少し難しいと思いますが、前回の「予備的遺言について教えてください」と併せてお読みいただければ理解が深まると思います。