遺言書があっても「保管なし」と回答されることがある?

公正証書遺言と遺言書保管法により保管された自筆証書遺言については、検索(照会)制度がありますが、ここでは後者について説明いたします。
《遺言書保管事実証明書》
相続開始以後、誰でも法務局(遺言保管所)に遺言書保管事実証明書の交付を請求することができまます。これにより遺言書保管の事実が判明すれば、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を請求することで、遺言の内容を確認することができます。
《関係遺言書》
自己が相続人、受遺者、遺言執行者等の関係相続人等である遺言書を「関係遺言書」といいます。上記の通り、遺言書保管事実証明書は誰でも請求できますが、探そうとしている遺言書が保管されていても、それが関係遺言書でない場合は、「保管なし」との証明書が交付されます。
例えば、相続人や受遺者ではない遺言執行者(士業や相続コンサルタント、友人等)が、他の遺言書の存否を確認するために遺言書保管事実証明書の交付を請求しても、当該他の遺言書に遺言執行者が指定されていないときや別の人が指定されている場合は、「保管なし」との証明書が交付されるわけです。
ただ、このケースの場合、証明書記載の認証文が「上記の遺言者の申請に係る請求人を受遺者等(略)又は遺言執行者等(略)とする遺言書が遺言書保管所に保管されていないことを証明する。」となりますので、注意すれば関係遺言書が保管されていないに過ぎないことが分かるとは思いますが。
《対応策》
遺言執行者が遺言者の相続人でない場合は、遺言者の相続人に協力を仰ぐ(相続人に遺言書保管事実証明書の請求人になってもらう)等して他に遺言書がないかを確認する必要があります。