遺言書があれば遺産分割協議は不要ですか?

《相続分を指定しただけのケース》

例えば、3人の子に「財産を1/3ずつ相続させる」という相続分の指定だけでは、何をどのように1/3ずつ分けるかについて遺産分割協議が必要になります。

《一部の財産・相続人についてのみ遺言をしたケース》

次に、一部の財産や相続人についてのみ遺言をした場合、他の財産については遺産分割協議が必要になります。
例えば、子どもが3人おり、「自宅の土地・建物を長男に相続させる」旨遺言した場合で、他に預貯金や株式があると、それらの財産について遺産分割協議が必要となります。

さらに、遺産分割協議に際し、自宅の土地・建物を含めて1/3ずつ分割すべきか、それとも自宅の土地・建物は除いて分割すべきか、遺言者の気持ち(意思)がはっきりしないため、話合いが紛糾する可能性もあります。

せっかく遺言書を書くのですから、後々相続人間で解釈が分かれたり、揉めたりしないよう具体的に分割方法を指定しておきましょう。

《遺言書にない財産が発見された場合》

遺言書に記載のない財産については、遺産分割協議が必要となりますので、そうした事態に備えて、「その他(一切)の財産」についての承継先や分割方法を記載してしておくとよいでしょう。
【例文】
(1)複数の推定相続人に相続させるケース
「第〇条 遺言者は、以上に定める財産のほか、一切の財産を前記妻山田花子に相続させる」

(2)一人の相続人に全財産を相続させるケース(例えば、子のない夫婦で夫が遺言する場合)
「第1条 遺言者は、遺言者の有する次の財産及び遺言者の有するその他一切の財産を遺言者の妻山田花子(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる」

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