死亡保険金は相続財産ですか?-固有の権利です!

死亡保険金は、保険金受取人が保険契約に基づく固有の権利として取得するもので、相続財産には含まれません。例えば、被相続人である被保険者が夫、保険受取人が妻に指定されている場合、保険金請求権を取得するのは妻のみで、子がいたとしても子に保険金請求権はありません。
《保険金受取人が「相続人」となっている場合》
死亡保険金には、生命保険、損害保険、第三分野等がありますが、基本的には以下のよう整理できます。
<1>生命保険、第三分野(医療保険、がん保険など)
保険金受取人が「相続人」とのみ指定されている場合は、次の通りとなります。
(1)保険約款に規定がある場合は、それに従います。
(2)保険約款に規定がない場合は、保険金請求権発生当時の相続人(代襲相続人含む)が法定相続分の割合により保険金請求権を取得します。この場合もあくまで「相続人」という保険金受取人の固有の権利です。
<2>損害保険、第三分野(傷害保険など)
保険約款で被保険者の相続人に法定相続分の割合により、保険金を支払うと規定されています。
<3>損害保険の賠償責任保険(自動車保険など)
損害賠償金が加害者加入の保険で支払われるだけであり、原則相続財産となります。ただし、被害者の父母、配偶子、子には不法行為法上(民法上)、固有の慰謝料請求権が認められており、その部分は相続財産ではありません。
しかしながら、損害保険会社は、賠償交渉上、賠償金の受領権限も含めた遺族の代表者を決めるよう求めてきますので(遺族全員の代表者に対する委任状・印鑑登録証明書を求められます)、実際上は、相続財産部分と固有の慰謝料請求権に分けて権利を行使するということはまずありません。