数次相続 - 祖父の登記名義のままの場合の遺産分割協議

親が亡くなり、遺産分割協議を開始したところ、不動産の登記名義人が祖父(祖母)のままだった、ということがときどきあります。今回は、このようなケースについて考えます。
《数次相続とは》
[広義]
数次相続とは、広義では、ある人の相続手続きが終わらないうちに、その相続人も亡くなって相続が発生することです。
[登記実務上]
登記実務上は、不動産の登記名義人の相続開始後、登記未了の間にその相続人が死亡し、第2次以降の相続が順次開始した場合に数次相続と呼ばれています。
《具体事例》
次のような事例を考えます。
被相続人(不動産の登記名義人):亡祖父A
相続人(被相続人:亡長男B、亡二男C (第1次相続)
相続人(被相続人)の相続人:長男Bの子D、二男Cの子EおよびF(第2次相続)
不動産を最終的に承継する人:F

《遺産分割協議の当事者》
長男B及び二男Cが既に死亡しているため、第1次相続の遺産分割協議の当事者はD、E、Fの3人となります。第2次相続の遺産分割協議の当事者はE、Fの2人です。
《遺産分割協議書の数は》
2通にする場合と1通にする場合があります。
《遺産分割協議書の記載》
遺産分割協議書の数によって違ってきます。
(1)2通にする場合
①1通目

②2通目

(2)1通にまとめる場合

Dにとっては、第1次相続でCの単独相続に同意するだけでよく、第2次相続でFが当該不動産を取得することは、自分にとって無関係であることから、2通とする方が理論的にはすっきりますが、枚数は多くなってしまいます。
《中間省略登記》
本事例の場合、中間の相続人が結果的にC1人となるため、登記名義人Aから最終の相続人Fに直接移転登記できます。