相続時、不動産の共有は避けるべき?―後々の事を考えて

 

<具体例>
 親から相続した実家の土地・建物を兄弟二人で各1/2の共有にしたとします。その後、兄Aが事業
資金としてまとまったお金が必要になりました。兄Aが実家の土地・建物を売却したいと考えても、
弟Bが生家を売るに忍びないと反対することもありえます。この場合、土地・建物の半分は弟Bのも
のですから兄Aが全部を売却することは当然できません。ならば兄Aの持分1/2だけを売却すること
は出来なくもありませんが、売却価格は下がるでしょうし、兄Aの持分を買い取った悪質業者が弟B
の持分を安く買い叩こうとすることもないとは言えません。そうなると兄弟の仲は益々悪化してし
まいます。

<所有者不明土地・空き家問題>
 また、売却しなくても共有のまま時間が経過して相続が繰り返され、兄弟の子、孫と共有者が増
えていくと、今社会問題となっている所有者不明土地・空き家問題にもつながりかねません。

<解決策>
 上記事例の場合、共有に代わる遺産分割方法として、①実家の土地・建物を兄弟どちらかに相続
させて、相続した方が他方へ土地・建物に代わる金銭(代償金)を支払う<代償分割>、②実家の
土地・建物を売却して、金銭で清算する<換価分割>、といった方法が考えられます。
 ただし、①は代償金の支払能力があることが前提となり、②は兄弟どちらかが実家に居住している
場合は、難しくなります。
 遺言でも同じことが言えます。
 

シェアする