嫡出でない子の相続分はどうなりますか?

 

 現在は、嫡出子と嫡出でない子とで相続分に差異はありません。
 平成25年改正前民法では、嫡出でない子の相続分は、嫡出子の相続分の1/2と規定していましたが、最高裁平成25年9月4日大法廷決定は、差異を設けている部分は遅くとも平成13年7月当時において憲法第14条1項に違反していたと判断し、これを受けて、平成25年12月5日に民法を一部改正する法律が成立し、両者の相続分に差異はなくなりました。 なお、新法は平成25年9月5日以後に開始のあった相続に適用されます。

《「嫡出子」とは》

 嫡出子(ちゃくしゅつし)とは、法律上の婚姻関係にある夫婦の間で生まれた子のことを指します。つまり、戸籍上、両親として記載されている夫婦の間に生まれた子が嫡出子にあたります

《平成25年9月4日以前開始の相続》

 最高裁の判断及びそれを受けた改正民法の内容は上記の通りですが、それ以前に開始した相続については、相続開始時期や遺産分割未了の有無によって、以下のようになります。 

<1>平成13年7月1日~平成25年9月4日に相続が開始した場合
 嫡出子とそうでない子の相続分は同じです。ただし、遺産分割協議が完了している場合や審判が確定しているときは、改正前民法の規定に従った内容であっても、その効力は維持されるため、遺産分割協議等をやり直す必要はありません。法的安定性の要請から、上記最高裁自身がこのように判示しています。

<2>平成12年10月1日~平成13年6月30日に相続が開始した場合
 この間については、改正前民法の規定について、合憲か否かの決定的な判断がなされていません。上記最高裁平成25年9月4日大法廷決定は、「~本件規定は遅くとも平成17年7月当時においてて違憲であった~」と判断しているのみです。

<3>昭和22年~平成12年9月30日に相続が開始した場合
 改正前民法の規定が適用され、嫡出でない子の相続分は、嫡出子の相続分の1/2となります。最高裁小法廷で合憲とされているため。

 改正民法施行から10年以上経過していますが、不動産登記名義が祖父母のままになっているようなケースなどでは、相続開始時期を踏まえた遺産分割協議が必要な場合も考えられますので、確認しておくとよいでしょう。

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