認知症でも遺言できますか?-程度にもよりますが・・・

無料相談会などでこのようなご相談が増えてきました。認知症の程度にもよると思われますが、自筆証書遺言と公正証書遺言に分けて考えてみます。
1.自筆証書遺言
(1)法務局の保管制度を利用する場合
法務局へ遺言者本人の出頭が必要です。係官が遺言能力の有無・程度をどこまでみるかは分かりませんが、状況(症状)によっては受け付けてもらえないものと思われます。
(2)法務局の保管制度を利用しない場合
要式に従って遺言書の作成自体はできても、相続開始後に疑義が生じ、紛争になる恐れがあります。
法務局の保管制度については、こちらをご覧ください。⇒自筆証書遺言保管制度
2.公正証書遺言
公証人が遺言能力をあると認めた場合は作成できますが、後日、遺言能力を巡って裁判になった場合に裁判所が公証人の判断を是認するとは断言できません。
3.成年被後見人の遺言
民法には、成年被後見人が遺言できる状態に回復した時に、医師二人以上の立会いその他の要式を備えることで遺言できることが規定されていますが、ベテランの先輩行政書士に聞いても経験した方はいらっしゃいません。
結局、遺言は元気なうちに早めに準備することが大事だということになります。