被相続人の親の養父母は相続人となる?-直系尊属なのか?
NEW!2026年03月01日

【はじめに】
先日、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出のみをご依頼頂いた方からのご質問。
「先日亡くなった兄には子はいないが10年前に他界した父親は養子(母親も5年前に他界)。養母が存命のようだが自分は兄の遺産を相続出来ないのか?」

これは、「被相続人の親の養父母は相続人となるか?」という問題です。 相続の第2順位である直系尊属にあたりそうですが、果たしてどうでしょうか?(事例は、個人情報保護の観点からアレンジしています)
【相続順位】
まず、相続順位をおさらいしておきます。民法上、相続順位は以下のようになっています。なお、配偶者は、常に相続人となります。
第1順位:子
第2順位:被相続人の直系尊属
第3順位:被相続人の兄弟姉妹
【被相続人の親の養父母は直系尊属?】
ここで、相談者と亡くなった兄の両親及び祖父母は既に亡くなっていますが、父親の存命の養母が直系尊属にあたるかどうかが問題となります。
この問題を考える際には、民法第727条を参照します。
<民法第727条>
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
<1>養子と養親との関係、養子と養親の親族との関係
養子と養親との間に親族関係が生じるのみならず、養子と養親の血族との間にも親族関係が生じます。
<2>養子の親族と養親との関係、養子の親族と養親の親族との関係
養子縁組は、養子のみを養親の親族に取り込むことになりますので、養子の実方の血族と養親はなんら親族関係が生じず、また養子の実方の血族と養親の血族とも親族関係は生じません。
したがって、養子縁組前に生まれていた養子の子(養子の実方の血族)は、養親との間になんら親族関係は生じません(養親の孫にはなりません)。一方、養子縁組後に生まれた養子の子と養親との間には親族関係が生じます(養子の子は養親の孫になります)。
<3>養子の配偶者と養親との関係
養子の配偶者に関しては、婚姻と養子縁組の前後関係にかかわりなく、養親との関係は直系姻族です。
相談事例では、被相続人(養子の子、相談者の兄)の出生日と亡父の養子縁組の前後関係によって、相談者が相続人になるかどうかが違ってきます。
①被相続人(相談者の兄)が亡父の養子縁組前に出生していた場合 ⇒ 養母は被相続人の祖母ではなく、第二順位の相続人がいないため、第三順位の相談者が相続人となる。
②被相続人(相談者の兄)が亡父の養子縁組後に出生していた場合 ⇒ 第二順位の養母(兄の祖母)が相続人となる。
【相続人が兄弟姉妹となる場合の戸籍謄本等の取付範囲】
ご参考までに相続人が兄弟姉妹となる場合に収集が必要となる戸籍謄本等は次のとおりです。
①被相続人の出生から死亡まで
②死亡した子や代襲相続人がいる場合は、その者の出生から死亡まで
③親の出生から死亡まで
④上記③以外の直系尊属の死亡が分かる戸籍謄本等
⑤存命の兄弟姉妹の現在の戸籍謄本
⑥死亡した兄弟姉妹がいる場合は、その者の出生から死亡までの戸籍謄本等
⑦兄弟姉妹の代襲相続人がいる場合は、その者の現在の戸籍謄本
相続人の確定は、相続手続きの第一歩です。ここで相続人の間違いや遺漏があるとその後の遺産分割協議は無効となってしまいます。不安な時は、是非行政書士などの専門家にご相談ください。
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