【改正法が成立!】どう変わる?新成年後見制度!

 

 私たちの社会では、高齢化の進展や単独世帯の増加により、家族の在り方が大きく変化しています。これに伴い、自分自身の判断能力が低下した場合に備える「成年後見制度」へのニーズは、ますます多様化しています。また、障害の有無にかかわらず、個人の自己決定権を尊重するという理念も広く浸透してきました。このような社会情勢の変化を受け、より使いやすく、本人の意思を尊重できる制度とするため、民法等の一部を改正する法律が令和8年6月24日に成立しました。今回は、この改正の背景と今後私たちの生活にどのように関わってくるのかを解説します。

【法改正の背景・必要性】

 現行の成年後見制度は、事理弁識能力(物事を判断する能力)の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」という三つの類型に分けられ、それぞれに異なる支援内容が設定されてきました。しかし、この仕組みにはいくつかの課題が指摘されていました。

1.過度な自己決定の制限:

 事理弁識能力を欠く常況にあると者と認定されると、包括的な代理権・取消権を持つ「後見」しか利用できず、本人にとって必要以上の制限がかかってしまうケースがありました。

2.柔軟性の不足:

 一度「後見」や「保佐」を利用し始めると、本人の能力が回復しない限り終了させるのが難しく、ニーズに合わせた保護を受けるのが困難でした。

3.自己決定の尊重:

 本人の意向が十分に把握されず、本人にとって本当に望ましい支援が届きにくい場面がありました。

 これらの課題を解決し、成年後見制度をより利用者のニーズに即した「使いやすい制度」に刷新することが、今回の法改正の最大の目的です。

【法定後見制度の主な改正事項】

 今回の改正で最も大きな変更点は、後見・保佐の制度を廃止し、原則として「補助」の制度に一元化することです。これにより、本人にとって必要な範囲で、必要な期間だけ制度を利用することが可能となります。

1.制度の一元化と利用の柔軟化:

 「補助」の枠組みをベースに、本人に必要な事項についてのみ代理権や取消権を付与する仕組みとなります。これにより、利用動機(例:遺産分割のためだけに必要な場合など)に応じた柔軟な利用が可能になります。

2.制度の終了:

 利用の必要がなくなったときには、家庭裁判所の認定により制度利用を終了できる仕組みが整えられました。

 詳細は、こちらをご覧ください⇒「新成年後見制度 - 途中でやめられる?」

3.交代が認められやすくなる:

 新成年後見制度では、本人の利益のため特に必要があるときは、交代が認められるようになります。但し、補助人との相性を理由としての交代は認められません。

 詳細は、こちらをご覧ください⇒「新成年後見制度 - 交代が認められやすくなります」

4.本人の意見の尊重:

 支援者(補助人)の選任時や事務の遂行において、本人の意向を把握することが義務付けられました。また、補助人が正当な理由もなく本人と面談しないなど、適切な保護が行われない場合には、解任が可能となるなど、本人の利益を守るための規定が強化されています。

 5.報酬の予測可能性:

 家庭裁判所が補助人の報酬を決定する際、事務の内容を考慮要素とすることが明記され、報酬の透明性が高められます。

【任意後見制度の主な改正事項】

 自分で事前に支援者を選んでおく「任意後見制度」についても、より柔軟で使いやすい制度となるよう見直しが行われました。

1.直接監督の導入:

 家庭裁判所が明らかに適当と認めるときは、任意後見監督人を選任せず、家庭裁判所が直接監督することが可能となり、監督の負担が軽減されます。(本人にとっては、任意後見監督人の報酬負担の面でも)

2.法定後見との併用:

 法定後見(補助)の利用を開始しても、任意後見契約が直ちに終了することはなくなりました。これにより、本人の事前の意思に基づく任意後見を、より長期的に活用できるようになります。

3.発効手続きの充実:

 本人が公正証書で指定した者であれば、任意後見契約を発効させるための申立てが可能になります。親族以外の第三者に支援を頼みたいケースなどでも、将来への備えがより確実になります。


【経過措置について】

 制度の改正にあたり、現在すでに成年後見制度を利用されている方々への配慮もなされています。

1.現在利用中の方:

 原則として、現在の契約内容を継続して利用することが可能です。ただし、解任事由や本人の意向尊重義務など、改正後の民法が適用される部分もあります。

2.新制度への移行:

 現行の「後見」や「保佐」を利用中の方が、改正後の「補助」の仕組みに切り替えたい場合は、申し立てを行うことで新制度へ移行することが可能です。

3.終了の選択:

 もし制度利用の必要性がなくなったと判断される場合は、これまでの審判を取り消す申立てを行うことができます。

 詳細な適用については状況により異なりますので、ご自身の状況がどのように当てはまるか、専門家への確認をお勧めします。

【困った時は行政書士にご相談を】

 成年後見制度は、本人の尊厳と自己決定権を守り、安心して生活を送るための非常に重要なツールです。今回の法改正により、より柔軟で本人ファーストな運用が期待されます。しかし、法律の条文や手続きは複雑であり、ご本人やご家族だけで判断するのは難しいことも少なくありません。また、成年後見制度は、遺言相続とも密接な関連があります。

 「自分にはどの仕組みが合っているのか?」「今利用している制度はどうなるのか?」といった疑問や不安をお持ちの方は、遺言や相続にも詳しい行政書士に是非ご相談ください。行政書士は、成年後見業務の専門家として、本人の意思を尊重し、最適な支援プランを一緒に考え、手続きをサポートするだけでなく、成年後見人等候補者(改正後は補助人候補者)や任意後見受任者となって大切な人生を伴走いたします。

 制度を正しく理解し、安心して未来を設計するために、まずは身近な専門家である行政書士までお気軽にお問い合わせください。
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