新成年後見制度 - 交代が認められやすくなります

令和8年6月17日、民法等の一部を改正する法律案が国会にて可決成立しました。成年後見制度の見直しが含まれています。今回の改正により補助人(*)の交代が認められやすくなります。
(*)新制度では、成年後見人、保佐人、補助人が補助人に一本化されます。
【現行制度の課題】
現行制度では、成年後見人等の交代が実現 せず、本人がそのニーズに合った 保護を受けることができないことが課題とされてきました。 (解任事由が限定)
(現行)民法第846条
<後見人の解任>
後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。
以下は、解任事由とはならない。
(1)本人と後見人の関係悪化
・親族間の対立
・後見人の対応に不満
・コミュニケーションが取れない
(2)本人の財産状況の変化
・不動産売却が必要
・相続発生で財産が増加
→ 専門職後見人への交代が必望ましいが・・・。
【交代という言葉はない】
条文上は「交代」という言葉は出てきません。一定の事由がある場合に「解任」して、新たな補助人を立てることで事実上「交代」することになります。
【新成年後見制度では】
新成年後見制度では、本人の利益のため特に必要があるときは、交代が認められようになります。但し、補助人との相性を理由としての交代は認められません。
以下に条文を見ていきます。補助人の解任を規定する第876条の5において、第三号(太字)が新設され、不正な行為等に限らず、本人の利益のために特に必要があるときは解任できると規定しています。
また、補助人の欠格事由を定めた第876条の6の第二号括弧書き(太字)に新設事由にもとづく解任は欠格事由にならないとして、交代制度を担保しています。
( 補 助 人 の 解 任 )
第 八 百 七 十 六 条 の 五
次 に 掲 げ る 事 由 が あ る と き は 、 家 庭 裁 判 所 は 、 補 助 監 督 人 、 補 助 開 始 の 審 判を 受 け た 者 若 し く は そ の 親 族 若 し く は 検 察 官 の 請 求 に よ り 又 は 職 権 で 、 補 助 人を 解 任 す る こ と が で きる。
一 補 助 人 が 不 正 な 行 為 を し た と き 。
二 補 助 人 が そ の 任 務 に 著 し く 反 し た こ と に よ り そ の 職 務 を 継 続 さ せ る こ と が 相当 で な い と き 。
三 補 助 開 始 の 審 判 を 受 け た 者 の 利 益 の た め 特 に 必 要 が あ る と き 。
( 補 助 人 の 欠 格 事 由 )
第 八 百 七 十 六 条 の 六
次 に 掲 げ る 者 は 、 補 助 人 と な る こ と が で き な い 。
一 未 成 年 者
二 家 庭 裁 判 所 で 免 ぜ ら れ た 法 定 代 理 人 又 は 補 助 人 ( 前 条 第 三 号 の 事 由 に よ り解 任 さ れ た も の を 除 く 。 )
三 破 産 者
四 補 助 開 始 の 審 判 を 受 け た 者 に 対 し て 訴 訟 を し 、 又 は し た 者 並 び にそ の 配 偶 者 及 び 直 系 血 族
五 行 方 の 知 れ な い 者
改正条文の詳細は、こちらをご覧ください。⇒法務省:民法等の一部を改正する法律案

【候補者をしっかり立てる】
親族であれ、専門職であれ、本人のニーズを実現できる候補者をしっかりと立てる重要性は従来と変わりません。ここをおざなりにすると交代の繰り返しになりかねません。
【新制度の施行日】
新成年後見制度は、一部を除き公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める 日から施行されます。
新成年後見制度は、補助人に一元化されるなど枠組みが大きく変わり、複雑になっていますが、あくまで本人保護・利益の実現という理念は変わりません。成年後見度の利用を検討する際は、専門の行政書士に是非ご相談ください。
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