成年後見 - 辞任や解任はできるの?-簡単にはいきません!

【成年後見に関するご質問】
本人(成年被後見人)から信頼関係が構築できないとして、成年後見人を辞任するよう言われました。辞任は認められるのでしょうか?あるいは成年後見人を解任できるのでしょうか?
【回答】
成年後見人は、本人(成年被後見人)やその親族から「信頼できない」「辞めてほしい」と言われたからといって、当然に辞任や解任が認められるわけではありません。
【後見人の辞任について】
現行法上、成年後見人が辞任するには、家庭裁判所の許可が必要です(民法第844条)。
<民法第844条>
「後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。」
したがって、本人やその親族から辞任を求められたとしても、①後見人自身が辞任を希望すること②かつ、辞任について正当な事由があることが必要になります。なお、「本人との信頼関係が完全に失われ、後見業務の遂行が著しく困難になった」という事情は、正当な事由として考慮される可能性があります。
もっとも、本人が認知症等により判断能力が低下している場合には、
〇財産管理への不満
〇金銭要求を断られたことへの反発
〇被害妄想
などから「辞めろ」と言っているケースも少なくありません。そのため、単に本人が辞任を求めているだけでは、裁判所が辞任を許可するとは限りません。

【後見人の解任について】
後見人の解任は家庭裁判所が行います(民法846条)。
<民法846条>
「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。」
現行法上の解任事由は、上記の通り、
〇不正な行為
〇著しい不行跡
〇その他後見の任務に適しない事由
です。
したがって、「信頼関係が構築できない」というだけでは通常は解任事由に該当しません。例えば、財産を横領した、家裁への報告を長期間怠った、本人の利益を無視した行為を繰り返したなどでなければ、解任は容易には認められません。
【実務上の扱い】
後見実務では、本人が強く後見人交代を希望している、面会や連絡を拒否している、後見業務に重大な支障が生じているような場合には、家庭裁判所が事情を調査した上で、現後見人の辞任許可、新たな後見人の選任という形で交代が行われることがあります。特に親族後見人の場合には比較的見られます。
一方、専門職後見人(弁護士・司法書士・行政書士・社会福祉士等)の場合は、本人との関係が多少悪化していても、適正に職務を遂行している限り、裁判所は直ちに交代を認めない傾向があります。その場合、現状維持、共同後見人の追加、後見監督人の選任などを検討することはあります。
なお、家庭裁判所への報告なしに業務を放棄したり、本人の要求だけで勝手に辞任したりすることはできません。後見人としての地位は、裁判所の許可や後任者の選任があるまで継続します。
