成年後見人が主宰する遺産分割協議-相続業務の受任ではない!

【はじめに】
成年後見の業務遂行上、遺産分割協議に参加することがあります。成年被後見人(本人)が相続人の一人である場合です。これには、成年後見人が遺産分割協議を主宰する場合と既に行われている(行われようとしている)遺産分割協議に参加する場合の2パターンがあります。
【成年後見人が主宰する場合】
成年被後見人の配偶者が死亡し、成年後見人が配偶者の相続財産を本人に代わり事実上管理している場合が典型的です。成年被後見人(本人)と配偶者に子どもがいない場合が多いです。他の相続人に手紙を出す際は、成年後見人として連絡していることを示すため、わたしの場合、「特定の相続人の方からのご依頼を受けて相続業務を行うものではございません」との一文を入れるようにしています。それでも、行政書士として相続業務を受任して連絡をしているものと誤解される方が少なくありません。(無理もありませんが)
【成年後見人が加わる場合】
他の相続人やその代理人から、成年被後見人(本人)宛て若しくは成年後見人宛てに連絡を頂き、遺産分割協議に参加するケースです。

主催する場合も加わる場合も、成年後見人は成年被後見人(本人)に法定相続分を確保することが求められます。そのため、遺産分割協議書にサインする前に必ず家庭裁判所と協議します。
また、依頼者と業務受託契約書を交わして相続業務を行う訳ではありませんので、報酬はありません。ただ、年一回の家庭裁判所への業務報告の際に付加報酬の申立てをすることはできます。付加報酬を認めるかどうか、認めるとしていくらにするかは家庭裁判所の判断となります。(特に遺産分割協議を成年後見人が主宰する場合の労力は相当なものですが)
【弁護士法第72条】
なお、行政書士として相続業務を受任する場合であっても、特定の相続人からの依頼を受けて他の相続人と交渉することは、弁護士法第72条に抵触する恐れが大きく、注意が必要です。
弁護士法第72条
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他の一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。」
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