配偶者居住権 - 固定資産税は誰が負担?

遺贈や遺産分割協議で配偶者居住権を取得した場合、固定資産税は誰が負担しますか? - 戸建てと分譲マンションに分けて検討してみます。
【戸建ての場合】
1.建物について
固定資産税は、原則として不動産の所有者に課税されますが、民法第1034条1項に「配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。」と規定されています。この通常の必要費には、維持管理のための修繕費のほか固定資産税も含まれると考えられ、配偶者が負担することとなります。
2.土地について
配偶者居住権は「建物」に対する権利であり、土地の利用権は含まれますが、土地そのものの固定資産税は、所有権者(配偶者以外の相続人など)が負担するのが一般的です。
【分譲マンションの場合】
1.敷地権が所有権の場合
原則: マンションの固定資産税は、建物と土地が一体の「居住の対価」としての性質が強いため、実務上は「マンションにかかる固定資産税の全額」を配偶者が負担する場合が多いです。
税法上の区分: もしどうしても土地と建物を分けたい場合、固定資産税評価証明書を取得し、建物部分と土地部分の評価額比率に応じて按分(あんぶん)計算することになります。しかし、計算コストを考えると合理的ではない場合がほとんどです。
2.敷地権が賃借権の場合
この場合、固定資産税の課税対象は建物部分のみであるため、配偶者が負担します。
【遺言者や遺産分割協議書に明記】
民法では、配偶者居住権者は「通常の必要費」を負担すると定めていますが、これはあくまでルールの一つであり、遺言や遺産分割協議でこれと異なる定めをすることも可能です。
1.遺言による指定
遺言者が「配偶者居住権に関する固定資産税は、所有者が全額負担するものとする」あるいは「配偶者が全額負担するものとする」と明記すれば、相続開始後はその内容が優先されます。これにより、後々の相続人同士の紛争や、「どちらが負担すべきか」といった曖昧さを回避できます。
2.遺産分割協議による合意
同様に遺産分割協議にて固定資産税の負担者を合意し、遺産分割協議に明記しておけば、後々の紛争予防に有効です。
【固定資産税納税通知書の送付先】
固定資産税の納税義務者は、あくまで登記上の所有者(配偶者以外の相続人など)です。したがって、自治体は所有者に対して納税通知書を送付し、所有者が支払うことを求めてきます。
配偶者が負担する取り決めになっている場合、以下のいずれかの方法をとるのが一般的です。
1.所有者が立て替えて、配偶者が所有者に支払う
所有者に通知書が届くため、所有者が一度納税し、あとで配偶者がその分を所有者に支払う(精算する)方法です。
2.所有者から配偶者へ通知書を渡す
通知書が届いた所有者が配偶者に渡すか、あるいは自治体に相談して「送付先変更届」を提出することで、納税通知書の送付先だけを配偶者の住所に変更できる自治体もあります(※あくまで送付先の変更であり、納税義務者自体が変わるわけではありません)。
ここ数年地価の高騰が続いており、90年代初頭のバブル期を凌ぐ勢いになっています。相続時に配偶者の居住先と生活資金(預貯金などの金融資産)を同時に確保することの可能な配偶者居住権が注目されています。
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