在留特別許可について教えてください-法務大臣の裁量的な処分

在留特別許可は、退去強制事由(不法入国、不法就労、不法滞在、犯罪行為など)に該当し、本来、日本から退去させられる外国人に対して、法務大臣が例外的に在留を許可する措置です。在留資格関係の各種申請は、他の許認可と比べて法務大臣の裁量の余地が大きいですが、中でも在留特別許可は本来、退去強制事由に該当するだけに許否判断の裁量余地は特に大きくなっています。
[在留特別許可の考慮事項]
在留特別許可にあたって考慮されるのは、次のような事項です。
①在留を希望する理由
②家族関係
③素行
④入国の経緯
⑤日本に在留している期間、その間の法的地位
⑥退去強制の理由となった事実
⑦人道上の配慮の必要性(難病で治療を受けている等)
⑧国内外の諸情勢、国内における不法滞在者に与える影響
など
個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮した上で判断されますので、例えば、日本人と結婚している、日本人や特別永住者の実子であるなどの事情(上記②の事情)があってもそれだけで在留特別許可が下りる訳ではありません。法務大臣が特別に許可する措置だけに、その裁量が大きいと言えます。
出入国在留管理局から、在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について(令和4年)が公表されていますので、参考になります。
なお、退去強制令書を発付された外国人は、速やかに日本から退去しなければいけませんので、退去強制令書が発付された後の事情変更等は原則として考慮されません。